「お金は人の命より重い」と言われますが、本当でしょうか?
その根拠となっているのは、刑法の罪の重さ(順序)のようです。
一生縁がないと思いますが、「重犯罪と通貨偽造罪」と「命の重さ」についてまとめます。
トピック
・刑罰と罪名のまとめ
・「お金は人の命より重い」の検証
・命の重さ、命の値段について
・まとめ
・刑罰と罪名のまとめ
刑罰の重さ(順序)と簡単な内容説明は、以下の通りです。
引用(https://tfutaba.com/keibatu_shurui/)
死刑になりうる犯罪(主要18種)については、以下の通りです。

引用(https://keiji-pro.com/columns/181/)
通貨偽造については、以下の通りです。
引用(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045)
・「お金は人の命より重い」の検証
殺人罪は、「最低5年以上の懲役~最大死刑」で、組織的殺人は、「最低6年以上の懲役~最大死刑」です。
それに対して通貨偽造罪の場合は、「最低3年以上の懲役~最大無期懲役」です。
ケース・バイ・ケースですから、一概に比較はできませんが、最低ラインだけ見ると「人の命のほうが重い」ことになります。
簡単のために通貨偽造罪の「重さの順序」も、「死刑になりうる犯罪(主要18種)」の序列と合わせて表記していますが、すべて「7」以下なのが分かります。
また 、「死刑になりうる犯罪(主要18種)」では、人が死亡しているときの最低ラインが「5年以上の懲役」ですが、人が死んでいない場合でも放火や爆発物使用では、最低ラインが「5年以上の懲役」となり、木造住宅の多い日本の事情が反映されていると見れます。
「火に対しては、かなりシビア」は新しい発見でした。
未成年への死刑適用は18歳からの慣例も複雑ではありますが、事実として抑えておく必要があります。
・命の重さ、命の値段について
弔慰金は、民間サラリーマンの場合800万円、公務員の場合2660万円。
職種によっては「賞恤金(しょうじゅつきん)」があり、490万~3000万円。
命の危険を伴う職種が対象で、その公務中に死亡した際に、功績を称えて支給される弔慰金。
ただし、賞恤金は「二重取り」になるため、賞恤金の対象者は災害弔慰金の500万円を受け取らない慣例。※週刊ポスト2012年2月17日号(https://www.news-postseven.com/archives/20120207_85668.html?DETAIL)
イラク派遣などで死亡した自衛官には、最大9,000万円の弔慰金が支払われるなどの措置もあり、過去に話題になりました。
ただし、「命の値段」ではなく、資本主義に則った「損失価値の補填」や「需要に対し供給が少ないことへの上乗せ」と考えられます。
「損失価値の補填」は、例えば交通事故で怪我をした場合、事故のせいで仕事を休む必要が発生しますが、その場合の休業補償金は本人の時給換算になります。
生み出す価値が高いほど、結果的に金額が大きくなるだけで、その人の命の値段とするのは後付けで、「本来なら得られていた対価」を補填しているに過ぎません。
「需要に対し供給が少ないことへの上乗せ」も、需給の原則の通りで、需要が高く供給が少ない場合、希少価値が高くなるため価格は吊り上がります。
死ぬ可能性の高いイラク派遣を皆嫌がるからこそ、志願した人への手当は手厚くなります。
また生涯賃金の補填と解釈すれば、「損失価値の補填」といえます。
・そもそも人の命に価値はあるか?
「死刑になりうる犯罪(主要18種)」を読んでいて気づくのは、国に対する侵略行為や他人に対して権利を侵害する行為に、より重い刑罰が科されていることです。
つまり、「他人(国)の権利を侵害するな!」に尽きるのではないでしょうか。
他人の権利をいちいち説明するのが面倒だから、「人の命は大切」と教えることで、「他人の命を奪う=他人への権利侵害」を説明している気がします。
それならば、自殺や安楽死、尊厳死はどうなるのか。
映画『フェアウェル』の中では以下のように語られています。
命は自分のものだと思ってるだろ?
東洋と西洋では違う
自分だけの命じゃない
家族みんなの命だ
引用(https://www.youtube.com/watch?v=l1l9UwY3q4g)
自分の命を奪うことは、家族に対して権利侵害である、と主張しています。
・まとめ
いかなる場合であっても、「他人の権利を侵害する」ことは許されません。
多様性や平等社会の根底にあるのも、「自らの権利の行使」や「反権利侵害」であるはずで、現代人が抑えるべき項目です。
語られている内容が、「権利を行使」しているのか「侵害」しているのかをベースに物事を判断、進めると議論が幾分かスムーズになります。