【読前感想】
ZOOMなどがスタンダードになり、動画と音声、特に音声の重要性が増す中で、「よい声のつくりかた」について気になりました。
取り入れられるものがあれば、取り入れたいという気持ちです。
【読後感想】
実際に読んでみた感想は、「よい声を出す技術を学ぶ」ことでしたが、技術を学んだ感じはなかったです。
テクニックというより、心の持ち方や発声メカニズムの解説でした。
よい声を出すには、「正しい姿勢」と「ボディーを響かせる」ことが大切と書かれています。
これ自体は納得の行く回答でした。
また、「正しい姿勢」も実践が簡潔に書かれてたので良かったです。
しかし、肝心の「ボディーを響かせる」については、ほとんど説明がなく、腑に落ちないまま終わりました。
本書の中で、「発声練習は語学や筋トレと同じ」と書いてるわりには、具体的なトレーニングが少なかったのが残念です。
トレーニング内容は、「火の呼吸」、「波の呼吸」、「外郎売りの音読」ぐらいでした。
サブタイトルの43のレッスンは、単に本の章節が43項目ある程度のことでした。
細かなテクニックや感情コントロールの重要性は、たしかにその通りですが、ボイトレ寄りの内容を期待しているとミスマッチが起こります。
以下、よい声につながるテクニック集です。
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よい姿勢
親指を地面にしっかりつける。目線は高く正中線を意識する(体は水平)。
座った場合は、上記に加え、坐骨で座面を軽くおすイメージ。
マインドの持ち方
他人に物事を伝えるには、「強いエネルギー」が必要。
そのため、エネルギーを高く保つことが大切。(エネルギーで圧倒する)
また、自分が相手に伝えたい感情の状態に、まず自分がなってる必要がある。
例)ネガティブな感情のまま、相手に話しかけてもネガティブな反応しか得られない。
例)悲しい曲の歌で力をもらえるのは、アーティストの強いエネルギー(底から立ち上がる強さ)も同時に感じてるから。
カリスマ・影響力の出し方
天のカーテン:頭上にカーテンがありそれに触れるイメージ=自分のテリトリーを大きく感じる。(声にも広がりが出る。)
王様のマント: マントをなびかせるつもりで、ゆっくり大きく歩く。視線もまっすぐ遠く前を見つめる。
第三の目:眉間の真ん中で見るイメージ。目の力を抜く。リラックス効果。
声を響かせる
管楽器のように吹く。圧力のある息(呼気圧)は、深く息を吸って胸に空気が入ってる状態で出せる。その状態を体に覚え込ませる。
口の奥を響かせるイメージ。
日本語は口の前の方を使うが、英語は口の奥のほうを使う。RやWは口腔全体を響かせる。
ビジネスプレゼンの5プロセス
①相手にしてほしい行動のゴールを決める
②対象者を明らかにする
③相手の感動のゴールを設定する
④適切な表現で感動のゴールへ連れてく
⑤対象者が自ら行動のゴールへ動く
感情が動いて、実際の行動につながるため、感情を促すことが大切。
感情のゴールに到達したら、自ずと行動のゴールにも結びつく。
ゴールの設定は、できるだけ低く設定する。(急がない、焦らない)
心を動かす。
アウェーな状況は事前に織り込んでおく。(織り込み済みだと凹まない)
相手の心を動かす
視覚と聴覚の総合点。
自分のエネルギーを相手より高く保つ。
自分の空間・テリトリーを広く保つ。
自分の感情を安定させる。(ポジティブ、リラックス、楽しい状態)
相手の感情にも気を配る。(それだけで和やかな空気になる。相手も緊張してる。)
強いエネルギーで、感情が安定してる人を人は信頼する。
マイクの使い方
マイクが懐中電灯で、自分の口に光をあてるように持つ。(顔は隠さないように)
マイクを口元に近づける。
ボディーを響かせるとマイクは音をよく拾う。音量ではない。
火の呼吸・波の呼吸
火の呼吸:「フッフッフッ」と細かく速いペースで30秒程度、鼻呼吸。
波の呼吸:「フーーーッ」と細く長い息を吐く。
まとめ
正しい姿勢を保つ。(声の通りをよくする)
自分の領域を大きく捉える。(リラックス、声が伸びる)
精神を安定させる。(楽しい気分は相手に伝わる)
エネルギーは高く保つ。(伝えるには高いエネルギーが必要)
声をだす訓練を継続する。(英語や筋トレと同じで少しずつ)
本人の実力以上の声は出ないため、テクニックではなく王道のことをしっかりやりましょうといった内容です。
細かなテクニックよりもそれらをしっかりやるだけで、見違えるように変化するとのことで、筋トレをしている身としては確かに細かなテクニックよりも正しい姿勢で筋トレを継続することが一番大切だと痛感しました。
少し残念な気持ちもありますが、「自分は、自分以上にはなれない」という当たり前のことに気づかせてくれた本でした。