「日本人の食事摂取基準(2020年版)」から得た、健康の基礎知識のまとめです。
端的に説明するなら、「塩と砂糖と塩分は控え、野菜とたんぱく質をたくさん取ろう!」です。
このことを伝えるためにとても苦労しているようですし、自分の生活を省みても、現代ではとても大変なことです。
個人的には、油の種類や食物繊維の項目が、とても面白かったです。
また、声高に叫ばれることはないですが、痩せの死亡率の高さは、目を見張るものがありました。
以下、ページごとに抜粋しています。気になる項目は、原本で確認ください。
P.9「国民の栄養摂取の状況からみて、その過剰な摂取が国民の健康の保持増進に影響を与えているもの」
- 脂質、飽和脂肪酸、コレステロール
- 糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないものに限る。)
- ナトリウム
⇒つまり、脂と砂糖と塩のとりすぎ注意!
P.9「欠乏している栄養素」
- たんぱく質
- n─6 系脂肪酸、n─3 系脂肪酸
- 炭水化物、食物繊維
- ビタミン A、B1、B2、B6、B12、C、D、E、K、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチン
- カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン
⇒上記の脂と砂糖と塩以外は、すべて足りていないイメージ
参考:第2章 日本食品標準成分表
P.14「食事摂取基準の各指標を理解するための概念」
摂取量と摂取不足又は、過剰摂取に由来する健康障害のリスク(確率)との関係を概念的に示している。
P.31「食事摂取基準を用いた食事摂取状況のアセスメントの概要」
※絶対量よりも、摂取基準(目標)と習慣的な摂取量(実際)の差が重要
P.44「食事改善(個人)を目的とした食事摂取基準の活用による食事摂取状況のアセスメン」
※個人の摂取量には、大きな測定誤差があることを留意
- エネルギーの過不足を体重またはBMIより評価
- 栄養素の摂取不足を評価
- 栄養素の過剰摂取を評価
- 生活習慣病の発症予防を評価
P.60「体重管理の基本的な考え方」
身体活動量が不変であれば、エネルギー摂取量の管理は体格の管理とほぼ同等。
望ましい体格を定める必要がある。成人期以後は、大きな身長の変化はないため、体格管理=体重管理。BMIを用いる。
※脂肪か筋肉か、皮下脂肪か内蔵脂肪かを考慮するため腹囲の測定がある
P.66「死因別BMIと死亡率の関連」
※BMI23.0-24.9を基準とした場合
P.70-71「特別配慮」
高齢者:身体活動量を増加させ、それに応じたBMI維持が必要。活動量低下は弱体化の原因。
- 乳児、小児:成長曲線に並行して成長しているかを確認
- 妊婦:どの程度の体重増加が望ましいかは各論ある
- 若年女性:やせの者の割合が高い
P.83「身体活動レベル」
- (生活の大部分が座位)
- (座位中心の仕事)
- (立位中心の仕事、運動習慣あり)
⇒コロナの在宅ワークで、在中心の仕事(2)から在中心の生活(1)へ、身体活動レベルが下がっている可能性あり
P.91「推定エネルギー必要量」
身体活動レベル1→2へと増やす必要あり
※活動レベル1のまま、少ないエネルギー消費と摂取量を維持することは好ましくない
P.123「タンパク質の目標量(非妊婦、非授乳婦)」
たんぱく質では、過剰摂取の回避(耐容上限量)の設定はなし。
⇒体重1kgあたり1日0.6-1.5g程度であれば問題なさそう
P.135「脂質」
- 脂肪酸は、炭水化物やたんぱく質と比べ、1gあたり2倍以上のエネルギー
- n-6、n-3系脂肪酸は、体内合成できず、欠乏すると皮膚炎などを発症する必須脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHA)
- 飽和脂肪酸は過剰摂取を避ける
P.147-148「トランス脂肪酸」
不飽和脂肪酸は、自然由来のシス型脂肪酸と、工業由来または反芻動物により生成され、乳製品の肉類に含まれるトランス脂肪酸が存在する。
工業由来のトランス脂肪酸は摂取することのメリットはなく、デメリットは大きい。
P.149「食事生コレステロール」
コレステロールは必須栄養素ではない。過剰摂取は循環器疾患の要因。
P.159「炭水化物」
生理学的には、ヒトの消化酵素で消化できる易消化性炭水化物と、消化できない難消化性炭水化物がある。
食物繊維は、生理学的な分類法で、定義は国内外の組織間で少しずつ異なる。
P.160「食物繊維」(つづき)
- 食物繊維の摂取量は体重の増加と負の関連
- 食物繊維の摂取量は便秘症の羅漢率、発症率、排便頻度と負の関連 ※関連を認めなかった研究もある
- 食物繊維は、摂取不足で生活習慣病の発症に関連する報告が多いため目標量を設定
P.160
- 脳は、体重の2% 程度の重量だが、総基礎代謝量の約 20% を消費すると考えられている。
- 食物繊維は、エネルギーとしての食事摂取基準では無視されているが、数多くの疾患と負の関連がある。(心筋梗塞、脳卒中、循環器疾患、2型糖尿病、乳がん、胃がん、大腸がんの発症など)
P.161「PFCバランス」
たんぱく質15%、脂質20%、炭水化物65%(エネルギー換算)
※炭水化物の多い食事は、その質への配慮を欠くと、精製度の高い穀類や甘味料や甘味飲料、酒類に過度に頼る食事になりかねない。これは好ましいことではない。
P.165「アルコール」
アルコールの過剰摂取による健康障害への注意喚起を行うに留め、指標は算定しない。
P.173「エネルギー換算係数」
1gあたりのエネルギー(カロリー)
たんぱく質:4 脂質:9 炭水化物:4(食物繊維:0~2) アルコール:7
P.174、177「基本的な考え方」
たんぱく質:足りないと不健康
脂質:必須脂肪酸を摂取、他の脂肪酸は取り過ぎで不健康
炭水化物:食物繊維が足りないと不健康
アルコール:取り過ぎで不健康
以下、下記の項目が続く。
P.171-374 ビタミン
P.378-411 対象特性(妊婦・授乳婦、乳児・小児、高齢者)
P.431-476 生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性肝臓病)
日本食品標準成分表
脂質、炭水化物、食物繊維の量など