4月27日、「洗たくマグちゃん」の消費者庁の措置命令を知ったのは下記ツイートでした。
雑誌のサスティナブル特集などにもよく登場しているけど、科学的な根拠がないと聞いていた商品。
— 塩谷 舞 mai shiotani 💭 (@ciotan) April 27, 2021
香害が少なく、環境負荷もマシな洗剤の候補が少なすぎて、頼っていた方も多いだけになんだか悲しい。
「洗たくマグちゃん」効果の根拠なし | 2021/4/27 - 共同通信 https://t.co/8AP42ELOzY
マグネシウムのを実際に洗濯に使っていたので、ショックでしたが同時に違和感もありました。まず先に、現時点(5月3日)で公表されている情報を列記します。
・株式会社宮本製作所に対する景品表示法に基づく措置命令について(消費者庁)
・「洗たくマグちゃん」の消費者庁の措置命令についてお詫びとお知らせ (宮本製作所)
・「洗たくマグちゃん」の新パッケージにつきまして(宮本製作所)
パッケージは以下のように変更されました。
<変更前>
<変更後>
消費者庁のリリースには、以下の記載があります。
「ご家庭の水道水がアルカリイオンの水素水に変身!洗剤を使わなくても大丈夫なお洗濯」、「部屋干しのイヤな臭いをスッキリ解消!」、「菌の抑制」及び「除菌試験により99%以上の抑制効果が確認されています。」等と表示するなど~(中略)~一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものであること。(P.39 「株式会社宮本製作所に対する景品表示法に基づく措置命令について[PDF:3.8 MB]」)
ここまでが事実確認になります。
で、ここからが本題です。先ほどのツイートの違和感は、
科学的な根拠がないと聞いていた商品。
の部分です。
誰に聞いていたのか、どうして発信しなかったのか、ニュースになってから後乗りしたのか、不思議でした。もちろん、「根拠がないことに根拠がない(証明できない)」から言わなかったのでしょう。しかし、宮本製作所を引きずり下ろすような発言をするのはなぜか?
「後出しジャンケン」や「環境推進者による内ゲバ」を見せられ、違和感や後味の悪さが残りました。
そこで、「景表法的にNGでも、実際に効果がない、科学的根拠なしとはならないのでは?※洗浄力は弱いので、表現が適切ではない」と反応しました。
この反応が適切だったかは微妙です。
宮本製作所も、あまりに商品が売れるものだからついつい表現を強めにしてしまったことや、外部試験場に検査に出すお金や手間を省いたために、今回のことに繋がったと予想されます。
景表法違反を擁護するつもりはありませんが、少なくとも、
- 環境への低負荷
- お肌に優しく洗剤の臭いは無臭に近い
- 弱アルカリ性で酸性(皮脂)を洗浄する
の3点は効果があり、「洗剤いらず」や「99%抑制」の表現は根拠不十分で不適切でした。
つまり、景表法違反と環境貢献の部分は線引して発信してほしかったです。
言い換えるなら、宮本製作所=悪と断罪せず、経過を注視してほしかったですし、「前々から根拠なく不当な商売を行っていた」のような印象を与える表現は避けてほしかったです。
他の方の反応をみても、「洗たくマグちゃん」をきっかけに目覚めてる人もいます。
洗濯マグちゃんを使って、その仕上がりに満足していたらそもそも洗剤自体が不要だったのでは?とも思っちゃいますね。
— シッダールタ大冒険 (@joyjon_99_999) April 27, 2021
景表法違反(優良誤認)のため、根拠もなく誇大表示をしてしまったことは反省すべき点で、再発防止も当然必要なことです。
ただ、宮本製作所が「洗たくマグちゃん」に込めた「大量に洗剤を使わなくても汚れは落ちる」のメッセージは、環境負荷軽減への提言として的を得ており、多くの人の意識を変えました。
弱アルカリ性の水による洗浄力を知った人たちは、洗剤を使わなくても(または微量でも)十分に満足できる人ことを理解し、今後も自分の判断で使い続けるはずです。
宮本製作所の「洗たくマグちゃん」をきっかけに生まれた素晴らしいエコムーブメントにも目を向けてほしいのです。
是々非々で議論するに辺り、人間の感情は時として邪魔をします。
今回、表現が行き過ぎてビジネスライク(売上重視)になってしまった点と、「洗たくマグちゃん」が示した可能性については、分ける必要があります。
良い点と悪い点を踏まえ発言するには、ツイッターは140字と文字数は足りず、十分な時間や判断を伴わずに投稿できるため、残念な意識のすれ違いが起こります。
「冷静に」や「遅いインターネット」や「ソースが大事」といったところで、人間の感情的にすれ違いは起こってしまうネットの汚れのようなものです。
できることがあるとすれば、根気よく事実確認をして性急に答えを求めない姿勢を取り続けることでしょうか。
事態が良い方向に向かうことを願います。
ただ、「環境団体が消費者庁に訂正を要求」に対して、宮本製作所が変な反応の仕方をしていたので、そんな事はいいから、早々に試験場から検査結果を受け取り、開示してほしいところです。 (環境市民団体の「食品と暮らしの安全基金」は宮本製作所に対して好意的な団体です)
「洗たくマグちゃん」の 宮本製作所は、科学に疎いのだろうか?
— sam (@oz_jp) May 3, 2021
モニター調査の結果などいくらでも捏造できるから、第三者機関の試験が大切です。必要な条件を提示して粛々と試験を進め、結果を開示すればよいだけの話です。
環境団体がマスコミに「効果なし」の訂正を要求 https://t.co/oWUvn9ONqu
いま、些末なことでグズグズ対応していると、本当にインチキ事業者の烙印を押されかねません。地球にとっても、消費者にとっても残念なことです。
今後、適切な対応がなされるかどうか、見届けたいです。
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また、「洗たくマグちゃん」問題に触れる際は、メーカーと代理店の関係(広告費を大量投下してもらっている側の忖度)も重要です。
広告予算が僅かな宮本製作所が、連日、雑誌やTV、ドラッグストアなどで認知獲得に成功していると、快く思わない巨大資本側からの圧力は当然、予想されます。
「白竜」ではヘルシー過ぎて取り上げられない題材ですが、巨大資本による圧力などの陰謀論が生まれるぐらい、画期的な(洗浄力と環境負荷のバランスの取れた)商品です。
ちなみに現在、我が家の洗濯洗剤は下記を使用しています。
マグネシウムを洗濯ネットに入れて使用しているのと、合成洗剤を併用しています。
カネヨ石鹸は合成洗剤ですが、なるべく環境にもお肌にも優しいものを選択しています。