2021-06-04

「洗たくマグちゃん」批判記事に対する見解と、宮本製作所のいまに知る。

 


「実質的にはただの水洗い」洗たくマグちゃんは無意味だと言える"科学的な理由"-左巻 健男東京大学非常勤講師(https://president.jp/articles/-/46443)

 

上記、プレジデントの記事について、宮本製作所になにか進展があったのかと読んでみました。(ことの発端は→「洗たくマグちゃん」が落とせない汚れは何だったのか?

結果、「洗たくマグちゃん」否定派の意見を知れて良かっただけでなく、記事の中で根拠として出されていたソースが、とても参考になりましたので紹介します。


ただし、記事中にはソースに書かれてる内容の、都合のいい部分だけを切り取られていて、終いには「『アルカリで洗う』はウソだった」とまで書かれていたので、リンクを貼るのは控えさせていただきます。

 

記事のトピックはざっくり、下記の通りでした。

  • 「洗たくマグちゃん」の経緯    ←事の経緯を知らない人向けに必要!
  • 洗濯ボール・洗濯リングなどの紹介 ←マグちゃんと関係ない
  • 重曹を使って洗濯の紹介      ←これも関係ない
  • マグネシウムでの洗浄効果は水洗いと変わらない  ←ここのソースが個人サイト
  • 主観的な感想は効果の根拠にならない  ←言ってることは正しい。が、個人サイトをソースとして出してるのはなぜ?
  • 効果検証には厳密な実験を     ←こちらも同意見。しかし、個人サイトをソースとして紹介しているのはなぜ?
  • 「科学的な用語」に騙されるな   ←自著の宣伝はあって良い
  • 既存の石けんや洗剤も環境に配慮されている ←メーカー、ヨイショ?


言っていることは正しい部分もあり、メーカー側がどう対応するか、適切な検査結果を提出できるか(するのか)含め、注目ポイントです。

ただ、「主観的な感想は根拠にならない」や「不適切だった効果検証」を指摘する割には、自身が根拠とするソースが個人サイトの時点で支離滅裂であります。

また関係ない洗濯リングなどを過去の事例として引っ張るのは良いとしても、それら同様に「洗たくマグちゃん」を語り、貶めているのは作為的な印象操作かと。

 

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次に、記事内で紹介されていたサイトについてです。

アルカリ助剤を使った洗濯は効果あるの?
http://sekken-life.com/life/soap_seski.htm

 

ざっくりと紹介すると、以下の通り。

  • 水で落ちる汚れは、アルカリ剤を使わなくても落ちる(使う必要がない)
  • 油、泥などのひどい汚れは、アルカリ剤では落ちない
  • 皮脂汚れや汗の臭いには、アルカリ剤を使った方が、水よりも効果的 
  • 風合い(肌触り)が悪くなる


サイト内では丁寧に、表組みで洗浄効果の検証結果が表示されています。※ただし、個人の実験結果です。

また、アルカリ剤は、限定された洗濯物に対しては、水で洗うだけよりも効果があると書かれています。

筆者の主張は、まとめて石けんで洗った方が合理的としながらも、アルカリ洗濯も限定的ではあるが効果を認めています。

ただし、過剰洗濯(水や電気の無駄遣い)や過剰な石けん投入を助長するのでは?と否定的な立場です。(洗濯回数などが増えていたら本末転倒)

 

以上の筆者の考えは、環境に良いとしながらも、実は環境負荷をたかくしていないか?と警鐘を鳴らしているだけで、すべての洗濯物をアルカリ洗濯し、本人がそれで満足できるならエコに貢献できています。(それは筆者も認めています)

最終的には消費者が、洗浄力をどう評価するかの問題です。

プレジデントの記事内では、もちろんその点については触れられていません。

 

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続いて、重曹の場合ですが、適切な試験結果の例として以下の記事を挙げています。

北海道消費者センターのテスト結果を報告(重曹の場合)

洗浄力
洗剤:40-80%
重曹:30-50%
水:20%

詳細はリンク先に任せますが、洗浄力の品目別の平均値が記載されています。

重曹は濃度を2%まで上げると高い効果を発揮できるようです。

また、一般の洗剤にも洗浄力に差があるようで、重曹もうまく使えば洗浄力の弱い洗剤ぐらいの効果はあります。そうなると、消費者の洗浄力の満足度合いの問題になります。

 

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プレジデントの記事は、この点にも触れられておらず、記事中で「ウソだった」は、言い過ぎではないかと。また、「洗たくマグちゃん」利用者も洗浄力が市販の洗濯洗剤より劣ることは承知の上だったはず。

いつの間にか広告表現がキツくなり、強い表現が使われるようになっていますが、本来は下記のような「併せて使ってください」、「気にならない人はこれ1本で」のスタイルでした。

 

 

「水+マグちゃん」と「液体合成洗剤」では差が少ないように思えますが、先ほどの北海道の試験場の結果を見ると、重曹2%の洗浄力が「50」で、中世液体合成洗剤が「58」ぐらいだったので、 あながち間違いとも言えません。

液体合成洗剤とマグちゃんの洗浄力が近いことも十分あり得るのです。


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宮本製作所は、「弊社製品への想い」のタイトルで5月6日にニュース記事を出していました。

 記事の中では、

 消費者庁からの指摘は、製品の訴求表示を裏付ける合理的な根拠を示す資料が不十分であったものであり、マグちゃんという製品の販売や効果を否定されたものではないと考えております。

としながらも、

今後、皆さまにマグちゃんをより安心して使っていただくために、製品の表示管理体制にはなお一層万全を期して参ります。
と締めくくっていて、「再試験しないんかい!」と思わずツッコミを入れたくなりました。
 
もしかしたら、表示管理体制の中に再試験も含まれているのかも知れませんが、コメント内では言及されていませんでした。

アルカリ性の水だったら、洗浄力はどうなのか?

北海道の試験場で実施されたような試験結果の報告が待たれます。 


今回、貴重なソースに触れる機会を与えてくれたプレジデント記事には感謝すると同時に、執筆した東大非常勤講師のような偏った考え方に陥らないよう反面講師にしていきたいです。