「特権とは?」をみて、海外らしいストレートな内容に衝撃を受けました。
それから、しばらくして、
「特権もそうだけど、貧困や格差の問題は、お金を与えても解決しないんじゃないか」と、ふと思いました。
貧困家庭に生まれて、育児放棄や家庭内暴力などの虐待を受けた子供が、どうして健やかに育つのか?
その世帯にお金を配ったとして、虐待などはなくなるのか?
貧困の連鎖は、どうやって断ち切ったらよいのか?
貧困に育ったがゆえのハンデをどう解消するか?
について考えました。
・虐待されて健やかに育つのか問題
「三つ子の魂百まで」といいますが、3歳までに虐待を受けたような子供が、その先の保育園や小学校で、明るく元気に振る舞うことは考えづらいです。それどころか、いじめの対象になったり、その反動で小~中学校で非行に走る可能性もあります。
そのまま、義務教育を終えて高校にも通わないか、将来の進路とは関係ないような高校へ通った場合、20歳時点で奨学金無しで大学進学させられる家庭と比べ、相当な差があるはずです。
そのまま、義務教育を終えて高校にも通わないか、将来の進路とは関係ないような高校へ通った場合、20歳時点で奨学金無しで大学進学させられる家庭と比べ、相当な差があるはずです。
20歳で成人した=大人だから自己責任、はあまりにも残酷ではないでしょうか?
下記はパレオダイエットで有名な鈴木祐さんのブログの引用です。
-特に幼少期の暴力やトラウマは大脳皮質を小さくする
-幼少期の貧困やネグレクトなどは認知と感覚の処理を司る
-幼少期の貧困やネグレクトなどは認知と感覚の処理を司る
大人になる前、さらには義務教育を受ける以前に、トラウマを背負った人たちは、自己責任を果たそうにも大きく差が開いた状態である認識がどこまで浸透しているのか気になります。
「特権とは?」の動画のように、自分たちが生まれ持った当たり前のものだと、気がついていない場合があるんじゃないかと。
・貧困世帯にお金を配って解決するのか問題
単純にお金を配って解決するならば、BI(ベーシックインカム)を導入するのも手っ取り早い方法です。子供1人なら、仮に正社員が週3~4休の導入でコストカットされて、20-40%減収した場合でも、7万円×3人=21万円+自分たちの給与(30-45万円)で51万円。世帯手取りで612万円程度で、物価が安定しているなら安心できます。
平均年収(男性)は、
20代369万円→258万円(手取り額207万円)月額:17.3万円
30代481万円→337万円(手取り額269万円)月額:22.4万円
40代567万円→397万円(手取り額320万円)月額:26.7万円
平均年収(女性)は、
20代319万円→223万円(手取り額180万円)月額:15万円
30代375万円→263万円(手取り額219万円)月額:18.3万円
40代401万円→281万円(手取り額225万円)月額:18.8万円
※年代別・年齢別 平均年収情報【最新版(2019年)】(https://doda.jp/guide/heikin/age/)
20代のシングルマザーであれば、7万円×2人=14万円+給与(15万円)で29万円。
世帯年収で348万円です。
母子世帯の平均年収は243万円で父子世帯は420万円となっていますので、金額だけなら現在のシンママより楽になります。
平均年収(男性)は、
20代369万円→258万円(手取り額207万円)月額:17.3万円
30代481万円→337万円(手取り額269万円)月額:22.4万円
40代567万円→397万円(手取り額320万円)月額:26.7万円
平均年収(女性)は、
20代319万円→223万円(手取り額180万円)月額:15万円
30代375万円→263万円(手取り額219万円)月額:18.3万円
40代401万円→281万円(手取り額225万円)月額:18.8万円
※年代別・年齢別 平均年収情報【最新版(2019年)】(https://doda.jp/guide/heikin/age/)
20代のシングルマザーであれば、7万円×2人=14万円+給与(15万円)で29万円。
世帯年収で348万円です。
母子世帯の平均年収は243万円で父子世帯は420万円となっていますので、金額だけなら現在のシンママより楽になります。
また女性の世帯収入(同居親族の収入を含めた世帯全員の収入)が348万円のため、親元で子育てしているぐらいの、お金の余裕が生まれます。(子育て負担を考えない場合)
※厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11920000-Kodomokateikyoku/0000188167.pdf)
お金に余裕があれば、虐待は減り、子供とのコミュニケーションに時間を割け、子供が健やかに育つのでしょうか?
シングル家庭であれば、母親または父親の社会的孤独をサポートできなければ、健全な子育て環境とはならない気がしますし、両親貧困の場合は、どちらかが働いていなかったり、中毒(お酒、賭け事、タバコ、ドラッグ、暴力など)をもっている可能性があり、それらを克服する必要があります。
つまり、お金は大切だけど、お金を配っても解決しないと。
・貧困の連鎖は断ち切れるのか問題
貧困を断ち切るには、幼少期の虐待など、トラウマを与えずに子育てする必要があります。
貧困は巡り巡って犯罪発生や医療費の高騰など、社会全体のコストとして跳ね返ってくる問題で、目を背けるべきではないとされていますが、だからといって個々の世帯の事情に対して、どこまでの干渉が許されるのでしょうか?
虐待死をなくすこと、虐待自体を防ぐこと、保護された児童養護施設でも虐待やいじめは起こり得るし、義務教育でも起こり得ます。
小学校のイジメを無くすのも達成できないのに、虐待死や虐待を防げるものか?
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※児童虐待による死亡事例の推移(児童数) (https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000361196.pdf) |
幸いなことに平成19年をピークに虐待死の数は減少しています。
「虐待死は3歳以下で77%」とのデータもあるため、3歳までは積極的に介入して人命救助する必要があります。
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※特集 若年(10代)妊娠 (https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000361196.pdf) |
また、「10代妊娠の場合は養育能力が不足している場合が多くある」ため、低所得世帯や若年世帯に対して、健康診断を1~3か月に一度実施するのがシンプルです。(栄養や発育状況・身体的外傷の有無を調べる)
当然、未受診者家庭には、積極的に介入します。
その辺は、親の所得や嗜好を大量に機械学習させれば、虐待予測シュミレーターも容易に作成できそうです。
マイナンバーカードで、資産や所得状況、嗜好や健康データを統合して取得すれば、信頼スコアじゃないですが、精度の高い予測ができそうです。
例えば、順風満帆なステータスの人でも、ライフイベントで突然、ピンチに陥る可能性もあり、そういった人たちを補足できるようにもなります。
問題は、社会がどこまで許容するかです。
新型コロナ下でも、個人の陰性・陽性を取得して国民の行動を細かく管理制限して、大規模感染を防ごうとするアイデアもありましたが、個人情報保護の観点からか実行されませんでした。
同様のことが、貧困・虐待救済時でもいえます。
・貧困に育ったがゆえのハンデをどう解消するか問題
貧困を経験者が、直面する困難は「お金」「健康」「学習能力」「認知能力」と考えた場合。
「お金」は、助成金やBIで解決できるかもしれません。
しかし、お金を使う力(意思決定や判断力)や、お金以上に大切な人間関係構築能力に関するハンデ(「学習能力」「認知能力」)は、幼少の人格形成期にトラウマを抱えたことにより、その後の人生でずっと付きまといます。
人格形成の問題(認知の歪み)は、コミュニケーション能力の問題に繋がり、適切な人間関係が構築できないことにより、様々な困難が生じます。
卑屈になったり、相手の顔色を常に伺ったり、攻撃的になったり、といった具合です。
DaiGo さんのブログでは「トラブルに気付くのが遅く、トラブルから受ける心理的なダメージには弱い」と書かれています。
またソーシャルサポートといわれる、友好な人間関係を構築できなかったり、人間関係を維持する能力が低いと、人生の幸福度は低下し、乗り越えるべき困難に直面しても、ストレスに弱く踏ん張りがきかないなどの弊害もあります。
当然、社会的ステータスの面でも、見えない重荷を背負うことになります。
成長期に社会と自分との立ち位置を学習するため、その後の人生の様々なイベントに於いても、自分が貧困であったり虐待された経験が「犯罪者の前科」のように付きまといます。
この呪いを、個人で断ち切る必要があります。
もちろん、個人で断ち切れる人もいれば、貧困や虐待のトラウマに苦しみ一生を終える人もいます。
他者からすれば、こうしたらもっと良くなると思っても、個人の価値観については、どこまでいっても個人の問題のため、介入は難しいです。
社会としてできることは、認知の歪みを改善するための「マインドフルネス」や「認知行動療法」などの環境を整備することです。
行動するかしないかを「自己責任」とするなら、選択の自由は個人にあるため、自己責任といわざるを得ません。
時代のタイミングにより、一定数の人は割りを食ってしまいます。
しかし、もしそれらの負の連鎖の渦中にいる人たちが、子を生み育てるとなったとき、貧困や虐待を連鎖させてしまうような場合は、それらを未然に防ぐサポート(介入)ができる状態になっていたら、つらい思いをしてきた人たちも多少は報われるのではないかと思います。
・まとめ
そもそもの前提条件は共有できているか?
自己責任の範囲と条件は何を前提としているのかが、お互いに見えていないと傷つけ合うことになりそう。
3歳児までは、親のステータスを小まめに取得して、必要であれば積極的に介入できた方が、子供のトラウマを未然に防げるんじゃないか?
しかし、どこまで介入が許されるかは、現存の社会との折り合いが必要。
すでにトラウマを経験してしまった人は、専門的な治療を受けるか、個人で「マインドフルネス」を活用して、できる限り認知の歪みを直していく。
治療に取り組むかは「自己責任」で、個人の自由。
仮に、喫煙により医療費が高くなる場合、貧困環境下で育ったため喫煙習慣があったとしても、止めないなら医療費負担を受け入れる。(個人の問題)
しかし、子供が受動喫煙にさらされている場合、介入してでも止める。(社会の問題)
社会の問題に対して個人ができることは限られますが、個人でできることは「マインドフルネス」の実践と、「健康への取り組み」、「お金との長期的な付き合い方の学習」。
健康やお金に関しては、他者よりも不利な立場からのスタートになるが、それは大した問題ではないはず。
他人と比較せずに、自分のペースで着実に積み上げていく、長期的な視座があれば困難を乗り越えられる。(これは、「マインドフルネス」を取り入れた後なら機能しやすい)
もし子育てをするなら、自助努力でできることは、自分のトラウマを踏まえ「弱い部分」を理解すること。
おそらく「不安=神経症的傾向」が強く、パートナーも似た傾向があると考えられるため、お互いに「堕ちていく」関係ではなく、「補完し合う」関係を築けるパートナーが良い。
(これも、相手の課題と自分の課題を分けて考えられる状態が望ましい)
お金を稼ぐ能力が高いと、お金で解決できる部分は一気に解決できるけど、それ以外の部分はお金の有無関係なく、自分や社会と向き合って解決する必要がある。